メジャーなPCR法以外にもコロナの検査はあります

今、テレビでよく言われているコロナの検査、PCR法というのは一気にみなさん馴染みの言葉になったと思います。実はウイルスの検査には、それ以外にもいろいろあります。ご存知のみなさんもおられると思いますが、開発の進捗情報も交えてまとめてみたいと思います。

まずは有名なPCR法。これはウイルスが持つ特有のDNA(理科でやりましたね)を、細胞から取り出して増やし、それを見る方法です。ウイルスを直接見る方法なので、今自分の体の中にいるかいないかがはっきりわかります。検体の取り方は、インフルエンザの時に経験された方も多いと思いますが、患者さんの鼻に綿棒を入れてクリクリしてとる!です。これが今は丸腰でやると医者に感染るということで、完全防備スタイルを準備しないとできません。検査室での手順が複雑で難しいためあんまりいっぱい検査できないのが難点ですが、今いろいろ改良されて、短いものだと1時間ちょっとで結果が出る方法(島津製作所)が開発されています。ここのところ唾液や鼻水でも遜色なく検出できるとちらほら報告が出ています。

次に抗体検査。これはウイルスに感染した時に、その人の体が防御反応をしたぞというのを見る方法です。血液で作られた防御反応の印(=抗体)をみるので、ウイルスを直接見るものではなく間接的にみています。ヒトの体は、症状が出ると一週間くらいで早い抗体(IgM抗体)を作ります。二、三週間すると遅い抗体(IgG抗体)が作られます。IgG抗体は体が回復した後も血液中に残るので、血液をとって調べれば以前にかかっているかどうかをチェックできます。この抗体検査キットは、雨後の筍のように出ています。日本ではクラボウ、ヤマト科学、医学生物学研究所、極東製薬工業などが中国や韓国のキットを発売しています。4月初めに頼んではあるのですがまだまだうちには回ってきません。しかも熱が4日続いた、早速検査しよう!!のタイミングではまだ陽性にはならないので、一般臨床ではあまり活躍できないかもしれません。

現在日本赤十字社で献血を使って、知らないうちに感染が終わっている人がどれくらいいるのか、またいくつかの検査キットの優劣を比較するための検討をしているところです。早ければ5月初めには結果が出るとのことです。アメリカニューヨーク州では3000人に対してこの検査を行っていて4月24日に14%がすでに感染していると発表しています。

長くなってきました。メインの最後は抗原検査です。これはよしば診療所で普段インフルエンザの迅速検査でも使っているキットと同じ原理です。COVID-19の表面にある固有の抗原(目印)にくっつく抗体を作ることで、この抗原+抗体の免疫複合体をトラップして目視で簡単に確認できる検査です。これが一番手っ取り早く臨床で使えるツールだと思いますが、検体採取は鼻クリクリなので、やはり完全防備セットを備えていない一般の診療所では今のところ難しいです。横浜市立大がこのウイルスにくっつく抗体を作ったとのことですし、富士レビオという会社がすでにキットを生産し始めているということです。期待しています!!

そして、おまけのもう一つ、LAMP法という新しい検査もあります。これは栄研化学が開発した方法で、PCR法と同じくウイルスのDNAを検出する方法ですが、より簡単に小さな機械で検査をすることができるのが売りです。長崎大学とキャノンが機械を共同開発しています。

ここまでの内容、読んでいただきありがとうございます。お疲れ様でした。

今研究者の方は猛スピードで開発してくれています。今はまだ、検査結果は偽陽性、偽陰性が多く、完全に信じられるレベルではないと思います。いくつかの検査の組み合わせで正確性を担保すること、今後、精度のいいものが残り裾野に広がってくることを、祈る気持ちで待っています。

今の自粛要請期間は、新しい生活習慣を体に馴染ませる修行期間と考えてはどうでしょうか?

もうすぐゴールデンウイーク。1ヶ月の自粛要請期間も折り返しを過ぎました。
今後の延長の匂いがなんだか漂って来ました。単に延長延長では出口が見えないですよね。

私は今が、コロナに合わせた生活習慣が身につくまでの、修行期間だと考えておきたいです。免許皆伝となれば、特に50歳以上がしっかり実行してくれたら、それだけでほとんど死ぬ人はいなくなるでしょう。100%押さえ込めないかもしれないけど、東京都で感染経路が追えない人の割合が減ってくれば、たとえ外出自粛解除しても抑えられるんじゃないかなと思います。
その必要な生活習慣としては
1.外に行く時には別にサージカルマスクじゃなくてもいいので、鼻、口を覆い隠す。目、鼻、口は触らないようにする。
2.外で食事してもいいけど、口がオープンになってしまっているので、食べてる間はつばが飛ばないように極力静かに。座席は向かい合うより隣合うほうがベター。食べ終わったら再び鼻、口を覆ってから大いに喋っていい
3.外から帰ったら、最初に手を洗う。できれば顔も洗う。

そうしたら、別に会社に働きに行ったっていいし、学校に行ったっていいしショッピングや外食したっていい。ワクチンなり特効薬ができるまで一人一人が実行し続けられれば、私たちの勝ちです!!

人が集まる側も、間隔をあけ、換気ができて定期的に消毒薬で拭き上げれば、濃度の濃いウイルスは存在しなくなります。100%消滅させなくても、感染を起こすような高濃度でなければ大丈夫です。

これら3つは目新しいことでもないので、1、3あたりはもう皆さんだいたいやれているかと思いますが、休校や休業要請が解除になると2が難しい気がします。学校や職場の昼食時なんかはいいコミュニュケーションの場だから、本来和やかに喋りながら食べるものだと思うし、現在うちのスタッフにそうしてもらうよう頼むのは、やっぱり気が引けました。

そしてもっと気の毒なのは、若い人たちが1〜3を実行しようとすると、エネルギーに満ち溢れて発散したいのに、飲み会もできない、ライブやカラオケで騒げない、部活やサークルなどで思い切り運動できないと言うことになります。
仕方ないと思って、この1年みんなしずーかに過ごすのか、もうこの際、ほとんど重症化しない(0.8%)んだから、若者は、その世代の中にいるときは、思いっきりやっちゃうと言うのもありなのかなあ。そして、高齢者と会う時にだけ1〜3を確実にやると言う感じ。そこはまだ私の中でも、混沌としています。

経済も死なず、全体に死者(医療が崩壊して他の病気に手が回らなくなったり、経済が回らなくて自殺しちゃうケースだってある)も少なく。これが理想的な着地点だと思います。

 

よしば職人たちの仕事を披露します。

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こんな、写真ですみません、フェイスシールドがないので、先週の午後、暇な時間にスタッフと内職して作りました。
黙々と大きなシートからカットしていき、見る見るうちに100個くらいハチマキ部分の作り置きができました。緑のほかにもう一色オレンジもありますよ〜。”対コロナ:フェイスシールドの作り方”(医局の先輩がYouTubeに投稿)を参考にさせていただきました。

マスクは在庫にあまり余裕がなかったのですが、何名か善意でくださる方があり、本当に涙が出るほどありがたいです。マスクの型紙をくださる方もいたり。医師会からも少しずついただけています。
今日は学生時代の友人が連絡をくれ、会社の工場で使ってる純エタノールを消毒用に調整して分けてあげると。しばらく会えてないのに、もう本当にいい奴だ〜。
”大変でしょう、頑張って”とか声をかけてもらえると、うう、、、50代ともなると涙腺が弱くなり、メガネの下でぐっと涙をこらえてますよ。応援してくれてる人がいると思うと、やる気が違います。

今の所、オンライン診療は考えていません。

時々患者さんが普段より血圧が高かったりして、どうしてかなと思うと、
”診療所に来るだけで不安です、早く帰りたいです。”
とおっしゃいます。コロナのどんなところが不安ですか?と伺うと、ニュースなどで感染者の数を聞いたりするとすごくドキドキしてしまうとか、院内感染の話題も出ているので、病院にはコロナがうようよしているような気持ちになっているようです。

チームよしばは、風邪の患者さんとの時間をかっちり区切っています。1日何回も院内の消毒を欠かしません。寒い日だって暖房入れながら窓開けてます。そりゃあ、大丈夫なはずの時間帯に、まれにコロナの無症候感染者も混ざっているかもしれません。でもそれは、近所のスーパーに行った時だって一緒ですよね。待合室ではマスクなしで大声で喋っている人はいません。だいたい少し離れて静かに待ってくれています。マスクをしていない方には、院内では不織布と輪ゴムでお手製の少し耳が痛くなる素敵な鼻口隠しをつけていただくことにしました。
満員電車の中でもそうそう広がらなかったのに、この状況で診療所が特に怖いということはないはずです。自信を持って言えます。

理屈ではそうでも、どうしても怖いという人もいますよね。わかります!!
慢性疾患が落ち着いている方で、通院が怖いという方には、疾患の落ち着き具合に応じて長期に処方することには、異論はありません。ただし、受付で処方箋だけもらって帰るということは行なっておりません。オンライン診療でも3ヶ月に一回は通院が必須です。うちは診療間隔を可能な範囲で伸ばしている、我ながら良心的な対応だと思っています。

初診の方に対して、こちらではまず電話で看護師が詳しい問診をとりますが、怪しいかなと思う方には、院内に入らないでもらい、駐車場に出向いて診察しています。こちらのタブレット端末(テレビ電話ができるSkypeというアプリを入れてあります)をタタタッとお渡ししにいって、車内と院内でテレビ電話で診察し、処方することは出来るかもとも思いますが、やっぱり酸素飽和度をとったり、喉を見たりしておきたいです。必要に応じて採血したりなどはやはりオンラインでは無理です。

そんなこんなで、結構迷いましたし時流に反していますが、オンライン診療は導入を見送ることにしたのです。また考えが変わったらこちらでお伝えしますね。

風邪の方にお電話をまずお願いしたい件について

電話をいただく目的は、何と言ってもコロナっぽい人とそうでなさそうな人をあらかじめ大まかに分けたいということです。前情報なしに受診されると、コロナとそうでない人が同じ待合室で過ごしてしまう可能性がありますので、それをなるべく減らしたいと思っています。電話ですのでもちろん診療時間内にいつでもかけてくれて、大丈夫です。ご協力をお願い致します。

基本的な流れとしては、こちらに電話をいただいたら、看護師が折り返しお電話して話を伺います。問診票については、コロナ用の詳細な物を私が作りましたので、それを元に詳しく聞き取りを行い、
1.自宅安静なのか、
2.受診してくださいなのか、
3.感染症センターに連絡してくださいなのか  の振り分けを行います。そして受診であれば、
3-a.院内に入っていいか、
3-b.車や屋外で待ってもらうか   の指示をいたします。
来院いただく時間は、11時以降、17時以降となります。院外で並ぶ場合は、十分な間隔をあけてください。

受診の際には、現時点ではインフルエンザや溶連菌の迅速診断は行なっておりません。詳しい話はあらかじめ伺っているので、診察の上、必要があれば、レントゲン、採血、採尿検査等は普段通り行います。車等で待機の方はこちらから診察に伺います。待合室の窓は、換気のために必ず開けっ放しにしておりますので、まだ肌寒い場合は上着を持ってきてください。また必ず!!マスク着用と入り口での手指消毒をお願いします。

コロナ罹患時、病院以外で療養することを想像してみました。

今週から東京では、無症状や軽症の感染者がホテルなどの施設や自宅で療養することになり、全員入院という体制ではなくなりました。

埼玉も発症する方が増えているので、今後病院以外での療養もありかなと思います。
現在私、私生活は引きこもりちゃんです(朝イチのよしば公園は時々散歩しています)し、診療所では風邪の患者さんと私、両方とも必ずマスク(手袋と飛沫予防のメガネも)していますので、自分が感染者と濃厚接触する可能性は、家族と診療所のスタッフ以外いないのですが、コロナがうつってしまったことを想像してみました。

軽い咳や微熱程度の症状であれば、自宅療養を選ぶか、施設を選ぶか?
私は自宅かな、やっぱり。
まず24時間自室にこもりますが、トイレや洗面所は家族と共用なので、使用の度に自分でハイター(ペットボトル1本に12.5mlでOK)で拭き上げします。洗濯は界面活性剤で十分ウイルスは破壊されるそうなので、特別なにもしなくてよさそうだけど念のため乾燥機で乾燥してしまえばOKか。食事は適当なのを作ってもらうか、買っておいてもらって部屋の前に置いてもらう。ゴミはできるだけ気をつけたいので自室用に蓋が閉まる大きくないゴミ箱を一つ買っておこうか。使い捨ての手袋も一箱くらい買っておこうか。
、、、考えると、施設の方が世話なしかも。でも家族には迷惑かけるけど、何より一つ屋根の下に居られるのは安心だよなあと思います。日中はテレビ電話で診療所の患者さんを診察します。電子カルテのタブレット版なんかがあるとベターだな。

人によっては、自分なら施設に入所する方がいいなと思う人もいるかもしれません。皆さんは、もしうつってしまったらどうしますか?

感染したらその先もあって、治癒した後は抗体ができてますので、安全に患者さんのウイルス検査やってあげられます。風評で診療所に患者さんが来なければ来ないで、病院や保健所なんかに出向いてどんどん矢面に立って検査しますよ。その場合宇宙服なんかいらないです。
今日もだいぶ妄想が膨らんできました。

ワクチンか治療薬が開発されるまで、長丁場ですが頑張りましょう

今必要なのは、感染爆発(オーバーシュート)を阻止すること
これがまずまず成功しているうちは、じみじみと集団発生(クラスター)つぶしが続くことになり
その間は、経済的な犠牲を累々と積み重ねることを余儀なくされています。

どちらが肉を切らせて骨を切る選択なのか?

私は、コロナが流行しだしたころに、感染元が追えない罹患者がある程度増えたら
もういろいろな経済活動の自粛はやめて、さっさと普段通りの生活にしてしまってもいいのでは?と考え、ブログにも書きました。
感染が広がりつつあった2月ごろにも、どちらの天秤が重いのか迷っていたところがあります。感染者の母集団が判明している何十倍も多いのでは?それなら重症化する人は、言われているよりほんのわずかに違いないと考えていたからです。
感染地図がぽつぽつとまだらな感じで不思議なのも、全数検査じゃないからなのかなと思ってました。
しかし近頃になっても近隣の病院で肺炎患者さんは少なく、欧米のようにはなっていないと聞くにつれ、隠れキリシタンならぬ隠れコロナ肺炎はいないんだと思うようになり、やはり感染者数はせいぜい公表されている人数の数倍程度なんだろうと判断するに至り、コロナを見くびっていたと思いました。

インフルエンザに例えると、ここ3年平均で1700万人ずつ罹患しており、毎年3000人程度の死亡者(厚労省の発表をググって調べました)がいます。いま日本でのコロナウイルスでの死者は60名足らずなのでまだまだ大したことないイメージかと思いますが、仮に季節性インフルエンザと同じような人数が罹患したとすると、その5%が最重症といわれているので、85万人は死の瀬戸際ということになり、その数はインフルエンザとふた桁違います。ちなみに日本の一年間の死亡者数がすべての疾患合わせておよそ135万人です。普段元気だった人が重症肺炎となり、一度に押し寄せたらどれだけ病院がパニックになるか、どなたにもわかる人数と思います。

出来るだけ、重症患者さんが出る時期をバラバラにして時間を稼ぐしかありません。

今が正念場と言われていますが、ここから先、ワクチンや治療薬ができてくるまではずっと正念場と思います。長いですが、この難局はだれが悪いのでもなく、我慢はお互い様です。腹をくくって、家で楽しめることや、戸外で人とあまり接触なくできる運動などを見つけて、ストレスをためすぎないようにやっていきましょう。